【レポート】スーパー耐久 第4戦 オートポリス
2022.08.09
COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racing
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第4戦「スーパー耐久レースinオートポリス」
7月30〜31日 オートポリス
予選:ウェット
決勝:ドライ/ウェット
クラス:ST-Z
ゼッケン:310
エントリー数:トータル46台/ST-Zクラス9台
優勝も見えたシリーズ折り返しの一戦、まさかのトラブルで涙を飲む
スーパー耐久シリーズで4シーズン目を迎えるCOROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、GT4車両によって競われるST-Zクラスに今年は勢力を集中し、トヨタGRスープラGT4を走らせることとなった。
「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」をドライブするのは、山崎学と坪井翔、野中誠太、そしてチームの司令塔も新たに兼ねることとなった細川慎弥の4人。なお、シリーズは従来よりも1戦増となる全7戦での開催が予定され、ランキングは上位6戦の有効ポイント制度が採用される。
第4戦の舞台はオートポリスで、再び全クラス混走の5時間レースとして開催される。前回のスポーツランドSUGOで挙げた勝利によって、チームの士気は上昇中。ランキングは3位のままながら、トップとの差は一気に詰まっただけに、引き続きの大暴れが期待される。
公式予選
今季初優勝を飾った、SUGOの第3戦から1か月足らずで、次なる戦いをオートポリスで迎えることとなったが、最高の余韻を残したまま……という意味では程よいインターバルと言えよう。ただし、浮かれてばかりもいられない。というのも細川が濃厚接触者となって不参加となったからだ。もちろん本人は陰性が確認され、いたって元気なのでご心配なく。
そんな細川の穴を埋めるべく、ドライバー3人が奮起。走行は木曜日から開始され、セットアップも順調に進んで、周回を重ねるごと速さは増していく。金曜日の専有走行1回目は、グループ1とグループ2が分かれて走るだけに、最も速さが試されるセッションだが、坪井が1分57秒376でトップ、そしてAドライバーとの比較においても山崎が1分59秒473と、唯一2分を切ってもいた。40kgにも達したウエイトハンデも、まるで影響を及ぼしていないように感じられたほど。2回目は全クラス混走ということもあって、決勝に向けたセット出しに専念された。
予選が行われる土曜日は、未明に降った雨によって、早朝は路面に水を残していたが、フリー走行が行われる頃にはほぼ乾いて、ドライタイヤでの走行が可能に。ここでは坪井、山崎によって、引き続き決勝に向けた最終チェックに専念。
そして注目の予選は、開始直前になって雨がついに降り出し、瞬く間に路面を濡らした一方で、始まってすぐに勢いを弱めるという厳しい条件に。3グループに分けられ、ST-Zクラスを含むグループ1はドライタイヤでも走れる状態になっていた。しかし、Aドライバーの山崎は、なかなかクリアラップが取れず、アタックのタイミングを逸してしまう。そのため、トップとは1秒半遅れでの2分0秒916を計測2周目に記録するに留まり、結果は4番手に。
Bドライバー予選においては再び雨に見舞われるも、それほど雨足が強くなかったことから、坪井はドライタイヤで走行を開始するも、1周だけでピットに戻り、ウェットタイヤに交換。ワンアタックで2分7秒584を出してきたが、トップの1秒2遅れの4番手に。Cドライバー予選に、続いて臨んだ野中も2分10秒124で4番手と、ドライコンディションでの好調ぶりを維持できずに終わる。
なお、山崎と坪井のタイム合算においては3番手となり、トップも見える位置から「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は、決勝レースに臨むこととなった。
選手コメント
▶山崎学
自分のアタックの場所を見つけるのに失敗し、アタックできる最後の周にも引っかかってしまって……。完全に僕のミスで、アタックのタイミングと場所を失敗しました。でも、車は悪くないし、ポールのポイントが欲しかったので、悔しくはありますが、ここからは気持ち切り替えていきます。明日は着実に、みんなでつなぎたいと思っています。
▶坪井翔
ドライだったら、フロントローに並べていてもおかしくないだけのポテンシャルはありました。でも、今日みたいなウェットコンディションでは3番手が限界です。とりあえず合算では3番手にはいられているので、明日に向けては悪くない位置からスタートできます。
僕は最初スリックで、行けるかなと思ったんですけど、15分じゃ足りなかったという感じで、ウェットタイヤに換えたんですけど、もう5分長ければスリックで行けたかも……。結果的にはウェット2セットが良かったように思います。決勝で取り返します。
決勝レース
日曜日のオートポリスは、いつ雨が降り出してもおかしくないような状況で、早朝8時から行われたウォームアップ走行は、まだ路面は濡れたままだった。野中、山崎、坪井の順で全員が走って最終チェックを実施。最後に坪井が2分10秒855をマークして、トップとなって構えは万全となっていた。
今回もスタートは野中が担当。いきなり激しいつば競り合いとなり、いったんは順位を落とすも、6周目には「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は2番手に浮上。やがて後続は引き離して、淡々と周回が重ねられていった。1時間38分にも及ぶロングスティントを敢行し、43周目に野中から坪井にバトンタッチ。2番手はキープされたまま。トップとの差をじわりじわりと詰めて、56周目には待望のトップに浮上し、坪井は一気に差を広げていく。
間もなく3時間を迎えようというタイミングの79周目からは、山崎の番。同じ周にトップを争っていた車両もピットに入るが、トラブルによってなかなか復帰ならず。結果、ほぼ30秒のリードを2番手に対し、つけることとなった。
まさに独走体勢を築き上げていたのだが、90周目に入って突如「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」がスローダウン! そのままピットに滑り込んできたではないか。右フロントのサスペンションにトラブルが生じ、急きょ修復を要するように……。戦列に戻ったのは、ゴールまで1時間を切ったタイミングで、トップからはもう18周遅れとなっていた。残り40分は再び野中が走行し、なんとかチェッカーを受けることはできて7位でフィニッシュ。その結果、ランキングは3位のままながら、トップとの差は広がってしまった。
しかしながら、次なる戦いはチームのホームコースである、モビリティリゾートもてぎで、約1か月後の9月3〜4日に開催される。ストップ&ゴーの繰り返されるコースにおいては、トップのウェイトハンデが60kgにまで達したのに対し、「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は40kgのままで臨めるとあって、勝機は十分にありそう。リベンジに期待がかかる。
選手コメント
▶山崎学
タラレバですけど、そのままうまく行っていたらなぁ、って思いますが、これがレースなんですね。足が折れちゃいました、サスペンションのケースが。こんなの折れるの見たことないです。流れは良かったですし、みんなうまく機能していただけに悔しいですね。本当にすごく悔しい。ポイントではトップが少し抜けたと思うんですけど、最後までいいレースしたいです。
▶坪井翔
なんで折れちゃったのか、まだ原因は分からないんですけど、普段折れるところではないので。車側の原因だったら、なんで起こったのか、ちゃんと見つけないといけないと思います。何せ勝てたレースだと思いますし、勝たなきゃいけないレースだったので、チャンピオンシップを考えると大きな痛手というか、ちょっと厳しくなってしまいました。でも、最後まで諦めずに、次のレースはチームの地元のもてぎですから、また頑張ります。
▶野中誠太
僕はスタートも担当して、最初ちょっとごちゃごちゃした中で、順位は下げちゃったんですけど、その後のペースは良くて、一台一台抜いていくことができて、アグレッシブに行きつつも、タイヤもうまく使えましたから、すごくいい形で来ていたんですけど……。トラブルの原因が何かはっきりさせないと、24時間の時もトラブルは多かったですし。次が1か月ぐらいインターバルあるので、しっかり準備していきたいと思います。
文:秦直之
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第4戦「スーパー耐久レースinオートポリス」
7月30〜31日 オートポリス
予選:ウェット
決勝:ドライ/ウェット
クラス:ST-Z
ゼッケン:310
エントリー数:トータル46台/ST-Zクラス9台
優勝も見えたシリーズ折り返しの一戦、まさかのトラブルで涙を飲む
スーパー耐久シリーズで4シーズン目を迎えるCOROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、GT4車両によって競われるST-Zクラスに今年は勢力を集中し、トヨタGRスープラGT4を走らせることとなった。
「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」をドライブするのは、山崎学と坪井翔、野中誠太、そしてチームの司令塔も新たに兼ねることとなった細川慎弥の4人。なお、シリーズは従来よりも1戦増となる全7戦での開催が予定され、ランキングは上位6戦の有効ポイント制度が採用される。
第4戦の舞台はオートポリスで、再び全クラス混走の5時間レースとして開催される。前回のスポーツランドSUGOで挙げた勝利によって、チームの士気は上昇中。ランキングは3位のままながら、トップとの差は一気に詰まっただけに、引き続きの大暴れが期待される。
公式予選
今季初優勝を飾った、SUGOの第3戦から1か月足らずで、次なる戦いをオートポリスで迎えることとなったが、最高の余韻を残したまま……という意味では程よいインターバルと言えよう。ただし、浮かれてばかりもいられない。というのも細川が濃厚接触者となって不参加となったからだ。もちろん本人は陰性が確認され、いたって元気なのでご心配なく。
そんな細川の穴を埋めるべく、ドライバー3人が奮起。走行は木曜日から開始され、セットアップも順調に進んで、周回を重ねるごと速さは増していく。金曜日の専有走行1回目は、グループ1とグループ2が分かれて走るだけに、最も速さが試されるセッションだが、坪井が1分57秒376でトップ、そしてAドライバーとの比較においても山崎が1分59秒473と、唯一2分を切ってもいた。40kgにも達したウエイトハンデも、まるで影響を及ぼしていないように感じられたほど。2回目は全クラス混走ということもあって、決勝に向けたセット出しに専念された。
予選が行われる土曜日は、未明に降った雨によって、早朝は路面に水を残していたが、フリー走行が行われる頃にはほぼ乾いて、ドライタイヤでの走行が可能に。ここでは坪井、山崎によって、引き続き決勝に向けた最終チェックに専念。
そして注目の予選は、開始直前になって雨がついに降り出し、瞬く間に路面を濡らした一方で、始まってすぐに勢いを弱めるという厳しい条件に。3グループに分けられ、ST-Zクラスを含むグループ1はドライタイヤでも走れる状態になっていた。しかし、Aドライバーの山崎は、なかなかクリアラップが取れず、アタックのタイミングを逸してしまう。そのため、トップとは1秒半遅れでの2分0秒916を計測2周目に記録するに留まり、結果は4番手に。
Bドライバー予選においては再び雨に見舞われるも、それほど雨足が強くなかったことから、坪井はドライタイヤで走行を開始するも、1周だけでピットに戻り、ウェットタイヤに交換。ワンアタックで2分7秒584を出してきたが、トップの1秒2遅れの4番手に。Cドライバー予選に、続いて臨んだ野中も2分10秒124で4番手と、ドライコンディションでの好調ぶりを維持できずに終わる。
なお、山崎と坪井のタイム合算においては3番手となり、トップも見える位置から「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は、決勝レースに臨むこととなった。
選手コメント
▶山崎学
自分のアタックの場所を見つけるのに失敗し、アタックできる最後の周にも引っかかってしまって……。完全に僕のミスで、アタックのタイミングと場所を失敗しました。でも、車は悪くないし、ポールのポイントが欲しかったので、悔しくはありますが、ここからは気持ち切り替えていきます。明日は着実に、みんなでつなぎたいと思っています。
▶坪井翔
ドライだったら、フロントローに並べていてもおかしくないだけのポテンシャルはありました。でも、今日みたいなウェットコンディションでは3番手が限界です。とりあえず合算では3番手にはいられているので、明日に向けては悪くない位置からスタートできます。
僕は最初スリックで、行けるかなと思ったんですけど、15分じゃ足りなかったという感じで、ウェットタイヤに換えたんですけど、もう5分長ければスリックで行けたかも……。結果的にはウェット2セットが良かったように思います。決勝で取り返します。
決勝レース
日曜日のオートポリスは、いつ雨が降り出してもおかしくないような状況で、早朝8時から行われたウォームアップ走行は、まだ路面は濡れたままだった。野中、山崎、坪井の順で全員が走って最終チェックを実施。最後に坪井が2分10秒855をマークして、トップとなって構えは万全となっていた。
今回もスタートは野中が担当。いきなり激しいつば競り合いとなり、いったんは順位を落とすも、6周目には「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は2番手に浮上。やがて後続は引き離して、淡々と周回が重ねられていった。1時間38分にも及ぶロングスティントを敢行し、43周目に野中から坪井にバトンタッチ。2番手はキープされたまま。トップとの差をじわりじわりと詰めて、56周目には待望のトップに浮上し、坪井は一気に差を広げていく。
間もなく3時間を迎えようというタイミングの79周目からは、山崎の番。同じ周にトップを争っていた車両もピットに入るが、トラブルによってなかなか復帰ならず。結果、ほぼ30秒のリードを2番手に対し、つけることとなった。
まさに独走体勢を築き上げていたのだが、90周目に入って突如「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」がスローダウン! そのままピットに滑り込んできたではないか。右フロントのサスペンションにトラブルが生じ、急きょ修復を要するように……。戦列に戻ったのは、ゴールまで1時間を切ったタイミングで、トップからはもう18周遅れとなっていた。残り40分は再び野中が走行し、なんとかチェッカーを受けることはできて7位でフィニッシュ。その結果、ランキングは3位のままながら、トップとの差は広がってしまった。
しかしながら、次なる戦いはチームのホームコースである、モビリティリゾートもてぎで、約1か月後の9月3〜4日に開催される。ストップ&ゴーの繰り返されるコースにおいては、トップのウェイトハンデが60kgにまで達したのに対し、「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」は40kgのままで臨めるとあって、勝機は十分にありそう。リベンジに期待がかかる。
選手コメント
▶山崎学
タラレバですけど、そのままうまく行っていたらなぁ、って思いますが、これがレースなんですね。足が折れちゃいました、サスペンションのケースが。こんなの折れるの見たことないです。流れは良かったですし、みんなうまく機能していただけに悔しいですね。本当にすごく悔しい。ポイントではトップが少し抜けたと思うんですけど、最後までいいレースしたいです。
▶坪井翔
なんで折れちゃったのか、まだ原因は分からないんですけど、普段折れるところではないので。車側の原因だったら、なんで起こったのか、ちゃんと見つけないといけないと思います。何せ勝てたレースだと思いますし、勝たなきゃいけないレースだったので、チャンピオンシップを考えると大きな痛手というか、ちょっと厳しくなってしまいました。でも、最後まで諦めずに、次のレースはチームの地元のもてぎですから、また頑張ります。
▶野中誠太
僕はスタートも担当して、最初ちょっとごちゃごちゃした中で、順位は下げちゃったんですけど、その後のペースは良くて、一台一台抜いていくことができて、アグレッシブに行きつつも、タイヤもうまく使えましたから、すごくいい形で来ていたんですけど……。トラブルの原因が何かはっきりさせないと、24時間の時もトラブルは多かったですし。次が1か月ぐらいインターバルあるので、しっかり準備していきたいと思います。
文:秦直之