【レポート】スーパー耐久 第4戦 オートポリス
2021.08.09
C.S.I Racing
スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第4戦
TKUスーパー耐久レースinオートポリス
7月31日〜8月1日 オートポリス
「GR Garage水戸インターGR86」が、ついにポール・トゥ・ウィン達成!
Wウィン目指すも、「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」は無念のリタイア
スーパー耐久シリーズ参戦3シーズン目のC.S.I Racingは、今年から2台体制を敷き、ST-4クラスにトヨタ86を、ST-ZクラスにトヨタGRスープラGT4を投入する。
ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブするのは、鈴木宏和と久保凜太郎、塩津佑介、そして佐藤公哉の4人。一方、連覇を目指すST-4クラスでは、「GR Garage水戸インターGR86」を坪井翔と細川慎弥、堀尾風允の3人がドライブする。
シリーズ第3戦「富士24時間」には、必勝を期してST-4クラスに勢力を集中。「GR Garage水戸インターGR86」だけで臨み、レギュラーの3人を久保と鈴木がアシストする格好としていた。予選は悪天候で中止になり、ランキング順でグリッドが決したことから2番手から決勝をスタート。わずか2周でトップに立つも、4周目にエンジントラブルに見舞われ、いきなり窮地に立たされてしまう。しかし、メカニックの懸命な作業によってレースに復帰することができ、3位で完走を果たすことはできた。
ランキングは目下3位で、トップとの差は19.5ポイントにまで開いているが、まだまだ「GR Garage水戸インターGR86」には自力での逆転の可能性は残されている。
また「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も、第2戦以来となる戦線復帰に。開幕からの2戦は速さを見せながら、展開に恵まれずにいるだけに、まずは表彰台に上がることを目標とする。


公式予選
「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブする久保が、今回のレース参戦を見合わせることとなった。理由は、新型コロナウイルスの濃厚接触者との接触があったからだ。久保自身は数回のPCR検査によって陰性であることが確認されているが、大事をとってサーキットには赴かないこととなった。
そういった急な体制変更はあったものの、木曜日から練習走行が開始され、ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR SupraGT4」にとって初めて走るコースとあって、まずは鈴木と佐藤、塩津の3人によって、持ち込みのセットからの合わせ込みが進められた。一方、ST-4クラスの「GR Garage水戸インターGR86」は、豊富なデータによって滑り出しは上々。やがて2台とも徐々にペースを上げていくこととなる。
最もコンディションに恵まれた金曜日午前の専有走行において、「GR Garage水戸インターGR86」は2分6秒584を記録するまでとなり、これはもちろんクラスのトップ。また、「FABULOUS GRMI GR SUPRA」も1分58秒226を記して2番手につけていた。
日曜日の早朝にFCY訓練を兼ねたフリー走行が実施され、ここで本戦に向けたチェックが行われた後に、いよいよ午後から公式予選が開始される。練習が行われた金曜までと同様に、厳しい暑さの中での走行となり、まずはグループ2のAドライバー予選が行われた。ここで坪井は2分6秒574をマークしてトップに立ち、2番手にほぼ1秒の差をつけていた。グループ1のAドライバー予選においても、鈴木が1分59秒120をマークしてトップ。しかし、2番手との差はコンマ1秒にも満たず。
続いて行われたBドライバー予選では、細川が2分7秒468で2番手となるも、トップとの差をコンマ7秒に留めたこともあり、合算タイムでは「GR Garage水戸インターGR86」が今季3度目のポールポジションを獲得する。
今季初めてBドライバー予選に挑むこととなった佐藤は、1分57秒726で4番手ではあったが、トップとの差はコンマ6秒で、しかも接戦だったことによって合算タイムでは「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップとなり、第2戦SUGO以来となるWポールを獲得することとなった。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」 #311
▶鈴木宏和
行くだけ行った、っていう感じでしたね。でも、今データ見直したら、もう少し行けたんじゃないかって、贅沢な悩みですね! 今回はスープラが全体的に調子良くて、このコースにバランスが合っているんだと思います。
▶佐藤公哉
本当は僕もトップ3に入りたかったんですけど、もうちょっとなんとかできたかな、っていう感じがします。僅差なんですけど(トップの1分)57秒1は見えなかったので、今後の鈴鹿、岡山に向けてセットアップも、もうちょっと突っついてやっていきたいと思います。テーマはだいぶ見えていますので。
ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」 #310
▶坪井翔
僕らはポイントを考えると、けっこう崖っぷちなので、ポールの1点も非常に重要になってくるので、この結果には非常に満足しています。決勝はうまくいかないレースが続いているので、明日こそは! 天気がよく分からないですけど、しっかり味方にして明日こそ今季初優勝できるように頑張ります。
▶細川慎弥
いつもギリギリですけど、坪井選手に助けられて獲れているので(苦笑)。問題は決勝ですよね、ここで流れを変えたいです。あんまり力んでもよくない流れで来ているので、今回はいい意味で開き直って、自分たちのやることをしっかりやろうね、って。チームはすごくリラックスしているので、決勝を楽しみにしています。
決勝レース
今回の決勝は全クラス混走による、5時間レースとして競われる。ちなみにドライバー交代を伴うピットストップは、3回義務づけられている。ただ、このレースウィークは天候に恵まれ、いや恵まれ過ぎていたのだが、土曜日の夜から一転。夜半から早朝まで降り続いた雨によって、路面が濡らされてしまったのだ!
8時からのウォームアップは、急きょウェットセットに改めての走行となる。すでに雨はやんでおり、15分も経過すると水しぶきも上がらなくなっていたが、今度はオートポリス名物の霧が。そして、20分ほど経過したところでセクター3に停止車両があり、赤旗が出されて終了に。
さぁ、これから……というタイミングではあったものの、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップから2秒遅れとなる2分12秒328で4番手、「GR Garage水戸インターGR86」もトップとコンマ4秒遅れの2分20秒792で2番手と、ウェットレースに一抹の不安を残すこととなった。
しかし、いざ決勝が近づくと、どうやら雨の心配はなさそう。問題は霧である。スタート進行の頃はうっすら、という状態ではあったのだが……。今回のスタート担当は、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」がSUGO以来となる塩津。そして、「GR Garage水戸インターGR86」は、久々に細川が先陣を切ることとなった。
細川はトップをキープしたままオープニングラップを終えるも、塩津はひとつポジションを落としてしまう。とはいえ、両者ともトップ争いを繰り広げ、そのまま予断を許されない状況が続くものと思われた。
ところが、スタートとほぼ同時に霧は濃くなっていき、視界不良によって3周目からセーフティカー(SC)が導入される。この間に「GR Garage水戸インターGR86」は坪井に交代。義務づけられたドライバー交代を、今のうちに1回消化しようというわけだ。これで3番手に退くも大きな差はついていない。そして7周目から再開となるも、わずか1周でまたSCが。
しばらく回復が見込めないということで、スタートから40分ほど経過したところで赤旗が出されて、レースは中断されてしまう。マシンはグリッド上に留め置かれた。なお、この赤旗によってピット回数の義務づけや、グレードごとドライバーの乗車時間制限は解除されたから、「GR Garage水戸インターGR86」にとって、先のピットは意味を成さぬことともなった……。
それでも1時間ほど経過すると、霧も晴れていき、後に強い日差しが注がれるまでとなる。レースはSCの先導によって再開される。その間に、素早くピットに戻ってきたのが「GR Garage水戸インターGR86」。坪井から再び細川に変わるとともに、ドライタイヤに変更する。ちなみにST-4クラスは3台すべて、この間に行なっていたため、2番手に浮上するとともにトップとの差はごくわずか。最下位から7周後となる20周目にはトップに返り咲く。
一方、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は16周目にピットに入り、タイヤ交換と同時に佐藤と交代。先手を切っていた車両に大きく遅れを取るも、勢いに乗る佐藤は総合順位を徐々に上げていき、37周目には4番手にまで順位を戻すこととなる。そして、42周目には先行車両のトラブルによって3番手に浮上。さらにピットタイミングの違いから、62周目からはトップに返り咲くことともなった。
一方、トップを快走する「GR Garage水戸インターGR86」は、残りほぼ1時間半となった58周目に再び坪井が乗り込み、細川の築いていたマージンによって、そのままポジションをキープ。そして、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も64周目に鈴木に代わるも、こちらは5番手に後退する。しかし、わずか2周でひとつ順位を上げ、さらに3番手の車両のピットインで3番手に返り咲く。やがて前を行く車両にも近づいていって視界のうちに収めたことから、表彰台はマスト、さらにどの段に登るか、という状況にまでなっていたのだが……。
ゴールまで残り20分を切った93周目に、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はピットに戻ってきたばかりか、そのままガレージに入れられることに。リヤサスペンションにトラブルを抱え、あえなくリタイアを喫してしまう。
その一方で「GR Garage水戸インターGR86」の快進撃は最後まで続き、チェッカーを受けた時には2位に1分8秒もの差をつける圧勝に! 4戦目にして今季初優勝を飾ることとなった。
2台が対照的な結果に終わったオートポリスでのレースウィークながら、残すは2戦、まだまだ気を抜くことは許されない。第5戦は9月18〜19日に鈴鹿サーキットで行われる。今度こそ狙うは2台揃っての優勝だ!
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」 #311
▶鈴木宏和
追いついていましたからね、残り2周ぐらいで追いつくと思っていて、計算上は。ピット入る2周前から違和感があって、だんだんひどくなって、危ないと思ったから戻りました。そしたらリヤのアッパーアームの付け根がポキっと折れていました。もったいないですね。決勝の流れが悪いですね。今回のトラブルはチームのミスではないし、ドライバーもみんな完璧だったし、あとはマシンそのものの問題を解決していかないといけないですね。

▶佐藤公哉
運がないですね、寺行ってきます、GTもありますから。もともとの車両自体の改善が必要な部分は、このトラブル通して見つかりましたので、きっとしっかりやっていただけると思っています。まだ1年目のクルマですからね。まぁ、自分ももっと次、頑張ります。

▶塩津佑介
雨にはちょっと不安要素があったのと、どう燃費を稼ぐかという作戦で抜かれちゃったんですが、実際ペースも悪くなかったし、温存はできていたから後半で勝負できる状態で渡せたので、僕としてはできることをやれたのかな、というのが正直な感想です。2位も手の届くところにあったので、すごく悔しいですけど、着実に上で戦える順位まで持ってくることはできたので、すべてマイナスだったわけじゃないと思っています。僕もまだまだドライバーとして強くならなきゃいけない部分もあるので、そこはしっかり残りの2戦で出していきます。

ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」 #310
▶坪井翔
やっと勝てました! 予選まではいつもポールが獲れて順調だったんですが、決勝はツキがなくて。なかなかいいレースができていなかったんですけど、今日は天候も含めて味方にできて、やっと本来の強いチーム力を発揮できて、すごく嬉しく思います。ポール・トゥ・ウィンで然りポイントも重ねられたので、首の皮一枚チャンピオン争いに残れたはずなので、この流れを崩さずに残り全部勝ちたいと思います!

▶細川慎弥
やりました、やっと勝った! でも、もうちょっと雨が降り続くだろうって作戦で行っていたので、中断になった時にはちょっと焦りましたね。作戦を考え直していたら「だったら、速さ勝負でガチでいいんじゃね?」ってことに気づき、切り替えられて良かったです。今年はこういう状況で負けていたので、今日は良かったです、振り回されずに。諦めず最後まで行きます。

▶堀尾風允
状況的に赤旗中断でレースが短縮されたので、今回は僕の出番なかったんですけど、次の鈴鹿に向けてしっかり準備しておきます。今回のオートポリスも良かったので、僕的にはポジティブな感じでした。

(文:秦直之)











スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第4戦
TKUスーパー耐久レースinオートポリス
7月31日〜8月1日 オートポリス
「GR Garage水戸インターGR86」が、ついにポール・トゥ・ウィン達成!
Wウィン目指すも、「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」は無念のリタイア
スーパー耐久シリーズ参戦3シーズン目のC.S.I Racingは、今年から2台体制を敷き、ST-4クラスにトヨタ86を、ST-ZクラスにトヨタGRスープラGT4を投入する。
ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブするのは、鈴木宏和と久保凜太郎、塩津佑介、そして佐藤公哉の4人。一方、連覇を目指すST-4クラスでは、「GR Garage水戸インターGR86」を坪井翔と細川慎弥、堀尾風允の3人がドライブする。
シリーズ第3戦「富士24時間」には、必勝を期してST-4クラスに勢力を集中。「GR Garage水戸インターGR86」だけで臨み、レギュラーの3人を久保と鈴木がアシストする格好としていた。予選は悪天候で中止になり、ランキング順でグリッドが決したことから2番手から決勝をスタート。わずか2周でトップに立つも、4周目にエンジントラブルに見舞われ、いきなり窮地に立たされてしまう。しかし、メカニックの懸命な作業によってレースに復帰することができ、3位で完走を果たすことはできた。
ランキングは目下3位で、トップとの差は19.5ポイントにまで開いているが、まだまだ「GR Garage水戸インターGR86」には自力での逆転の可能性は残されている。
また「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も、第2戦以来となる戦線復帰に。開幕からの2戦は速さを見せながら、展開に恵まれずにいるだけに、まずは表彰台に上がることを目標とする。


公式予選
「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブする久保が、今回のレース参戦を見合わせることとなった。理由は、新型コロナウイルスの濃厚接触者との接触があったからだ。久保自身は数回のPCR検査によって陰性であることが確認されているが、大事をとってサーキットには赴かないこととなった。
そういった急な体制変更はあったものの、木曜日から練習走行が開始され、ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR SupraGT4」にとって初めて走るコースとあって、まずは鈴木と佐藤、塩津の3人によって、持ち込みのセットからの合わせ込みが進められた。一方、ST-4クラスの「GR Garage水戸インターGR86」は、豊富なデータによって滑り出しは上々。やがて2台とも徐々にペースを上げていくこととなる。
最もコンディションに恵まれた金曜日午前の専有走行において、「GR Garage水戸インターGR86」は2分6秒584を記録するまでとなり、これはもちろんクラスのトップ。また、「FABULOUS GRMI GR SUPRA」も1分58秒226を記して2番手につけていた。
日曜日の早朝にFCY訓練を兼ねたフリー走行が実施され、ここで本戦に向けたチェックが行われた後に、いよいよ午後から公式予選が開始される。練習が行われた金曜までと同様に、厳しい暑さの中での走行となり、まずはグループ2のAドライバー予選が行われた。ここで坪井は2分6秒574をマークしてトップに立ち、2番手にほぼ1秒の差をつけていた。グループ1のAドライバー予選においても、鈴木が1分59秒120をマークしてトップ。しかし、2番手との差はコンマ1秒にも満たず。
続いて行われたBドライバー予選では、細川が2分7秒468で2番手となるも、トップとの差をコンマ7秒に留めたこともあり、合算タイムでは「GR Garage水戸インターGR86」が今季3度目のポールポジションを獲得する。
今季初めてBドライバー予選に挑むこととなった佐藤は、1分57秒726で4番手ではあったが、トップとの差はコンマ6秒で、しかも接戦だったことによって合算タイムでは「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップとなり、第2戦SUGO以来となるWポールを獲得することとなった。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」 #311
▶鈴木宏和
行くだけ行った、っていう感じでしたね。でも、今データ見直したら、もう少し行けたんじゃないかって、贅沢な悩みですね! 今回はスープラが全体的に調子良くて、このコースにバランスが合っているんだと思います。
▶佐藤公哉
本当は僕もトップ3に入りたかったんですけど、もうちょっとなんとかできたかな、っていう感じがします。僅差なんですけど(トップの1分)57秒1は見えなかったので、今後の鈴鹿、岡山に向けてセットアップも、もうちょっと突っついてやっていきたいと思います。テーマはだいぶ見えていますので。
ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」 #310
▶坪井翔
僕らはポイントを考えると、けっこう崖っぷちなので、ポールの1点も非常に重要になってくるので、この結果には非常に満足しています。決勝はうまくいかないレースが続いているので、明日こそは! 天気がよく分からないですけど、しっかり味方にして明日こそ今季初優勝できるように頑張ります。
▶細川慎弥
いつもギリギリですけど、坪井選手に助けられて獲れているので(苦笑)。問題は決勝ですよね、ここで流れを変えたいです。あんまり力んでもよくない流れで来ているので、今回はいい意味で開き直って、自分たちのやることをしっかりやろうね、って。チームはすごくリラックスしているので、決勝を楽しみにしています。
決勝レース
今回の決勝は全クラス混走による、5時間レースとして競われる。ちなみにドライバー交代を伴うピットストップは、3回義務づけられている。ただ、このレースウィークは天候に恵まれ、いや恵まれ過ぎていたのだが、土曜日の夜から一転。夜半から早朝まで降り続いた雨によって、路面が濡らされてしまったのだ!
8時からのウォームアップは、急きょウェットセットに改めての走行となる。すでに雨はやんでおり、15分も経過すると水しぶきも上がらなくなっていたが、今度はオートポリス名物の霧が。そして、20分ほど経過したところでセクター3に停止車両があり、赤旗が出されて終了に。
さぁ、これから……というタイミングではあったものの、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップから2秒遅れとなる2分12秒328で4番手、「GR Garage水戸インターGR86」もトップとコンマ4秒遅れの2分20秒792で2番手と、ウェットレースに一抹の不安を残すこととなった。
しかし、いざ決勝が近づくと、どうやら雨の心配はなさそう。問題は霧である。スタート進行の頃はうっすら、という状態ではあったのだが……。今回のスタート担当は、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」がSUGO以来となる塩津。そして、「GR Garage水戸インターGR86」は、久々に細川が先陣を切ることとなった。
細川はトップをキープしたままオープニングラップを終えるも、塩津はひとつポジションを落としてしまう。とはいえ、両者ともトップ争いを繰り広げ、そのまま予断を許されない状況が続くものと思われた。
ところが、スタートとほぼ同時に霧は濃くなっていき、視界不良によって3周目からセーフティカー(SC)が導入される。この間に「GR Garage水戸インターGR86」は坪井に交代。義務づけられたドライバー交代を、今のうちに1回消化しようというわけだ。これで3番手に退くも大きな差はついていない。そして7周目から再開となるも、わずか1周でまたSCが。
しばらく回復が見込めないということで、スタートから40分ほど経過したところで赤旗が出されて、レースは中断されてしまう。マシンはグリッド上に留め置かれた。なお、この赤旗によってピット回数の義務づけや、グレードごとドライバーの乗車時間制限は解除されたから、「GR Garage水戸インターGR86」にとって、先のピットは意味を成さぬことともなった……。
それでも1時間ほど経過すると、霧も晴れていき、後に強い日差しが注がれるまでとなる。レースはSCの先導によって再開される。その間に、素早くピットに戻ってきたのが「GR Garage水戸インターGR86」。坪井から再び細川に変わるとともに、ドライタイヤに変更する。ちなみにST-4クラスは3台すべて、この間に行なっていたため、2番手に浮上するとともにトップとの差はごくわずか。最下位から7周後となる20周目にはトップに返り咲く。
一方、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は16周目にピットに入り、タイヤ交換と同時に佐藤と交代。先手を切っていた車両に大きく遅れを取るも、勢いに乗る佐藤は総合順位を徐々に上げていき、37周目には4番手にまで順位を戻すこととなる。そして、42周目には先行車両のトラブルによって3番手に浮上。さらにピットタイミングの違いから、62周目からはトップに返り咲くことともなった。
一方、トップを快走する「GR Garage水戸インターGR86」は、残りほぼ1時間半となった58周目に再び坪井が乗り込み、細川の築いていたマージンによって、そのままポジションをキープ。そして、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も64周目に鈴木に代わるも、こちらは5番手に後退する。しかし、わずか2周でひとつ順位を上げ、さらに3番手の車両のピットインで3番手に返り咲く。やがて前を行く車両にも近づいていって視界のうちに収めたことから、表彰台はマスト、さらにどの段に登るか、という状況にまでなっていたのだが……。
ゴールまで残り20分を切った93周目に、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はピットに戻ってきたばかりか、そのままガレージに入れられることに。リヤサスペンションにトラブルを抱え、あえなくリタイアを喫してしまう。
その一方で「GR Garage水戸インターGR86」の快進撃は最後まで続き、チェッカーを受けた時には2位に1分8秒もの差をつける圧勝に! 4戦目にして今季初優勝を飾ることとなった。
2台が対照的な結果に終わったオートポリスでのレースウィークながら、残すは2戦、まだまだ気を抜くことは許されない。第5戦は9月18〜19日に鈴鹿サーキットで行われる。今度こそ狙うは2台揃っての優勝だ!
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」 #311
▶鈴木宏和
追いついていましたからね、残り2周ぐらいで追いつくと思っていて、計算上は。ピット入る2周前から違和感があって、だんだんひどくなって、危ないと思ったから戻りました。そしたらリヤのアッパーアームの付け根がポキっと折れていました。もったいないですね。決勝の流れが悪いですね。今回のトラブルはチームのミスではないし、ドライバーもみんな完璧だったし、あとはマシンそのものの問題を解決していかないといけないですね。

▶佐藤公哉
運がないですね、寺行ってきます、GTもありますから。もともとの車両自体の改善が必要な部分は、このトラブル通して見つかりましたので、きっとしっかりやっていただけると思っています。まだ1年目のクルマですからね。まぁ、自分ももっと次、頑張ります。

▶塩津佑介
雨にはちょっと不安要素があったのと、どう燃費を稼ぐかという作戦で抜かれちゃったんですが、実際ペースも悪くなかったし、温存はできていたから後半で勝負できる状態で渡せたので、僕としてはできることをやれたのかな、というのが正直な感想です。2位も手の届くところにあったので、すごく悔しいですけど、着実に上で戦える順位まで持ってくることはできたので、すべてマイナスだったわけじゃないと思っています。僕もまだまだドライバーとして強くならなきゃいけない部分もあるので、そこはしっかり残りの2戦で出していきます。

ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」 #310
▶坪井翔
やっと勝てました! 予選まではいつもポールが獲れて順調だったんですが、決勝はツキがなくて。なかなかいいレースができていなかったんですけど、今日は天候も含めて味方にできて、やっと本来の強いチーム力を発揮できて、すごく嬉しく思います。ポール・トゥ・ウィンで然りポイントも重ねられたので、首の皮一枚チャンピオン争いに残れたはずなので、この流れを崩さずに残り全部勝ちたいと思います!

▶細川慎弥
やりました、やっと勝った! でも、もうちょっと雨が降り続くだろうって作戦で行っていたので、中断になった時にはちょっと焦りましたね。作戦を考え直していたら「だったら、速さ勝負でガチでいいんじゃね?」ってことに気づき、切り替えられて良かったです。今年はこういう状況で負けていたので、今日は良かったです、振り回されずに。諦めず最後まで行きます。

▶堀尾風允
状況的に赤旗中断でレースが短縮されたので、今回は僕の出番なかったんですけど、次の鈴鹿に向けてしっかり準備しておきます。今回のオートポリスも良かったので、僕的にはポジティブな感じでした。

(文:秦直之)










