【レポート】スーパー耐久 第5戦 モビリティリゾートもてぎ
2022.09.11
COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racing
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第5戦「もてぎスーパー耐久5Hours Race」
9月3〜4日 モビリティリゾートもてぎ
予選:ドライ
決勝:ドライ
ホームコースで有終の美を飾れず……。悔しい4位でレースを終える
スーパー耐久シリーズで4シーズン目を迎えるCOROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、GT4車両によって競われるST-Zクラスに今年は勢力を集中し、トヨタGRスープラGT4を走らせることとなった。
「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」をドライブするのは、山崎学と坪井翔、野中誠太、そしてチームの司令塔も新たに兼ねることとなった細川慎弥の4人。なお、シリーズは従来よりも1戦増となる全7戦での開催が予定され、ランキングは上位6戦の有効ポイント制度が採用される。
シリーズ第5戦はホームコースである、モビリティリゾートもてぎが舞台とあって、絶対に勝ちたい一戦だ。ウエイトハンデは40kgにも達して、楽な戦いは許されないだろうが、勝つことだけをターゲットにレースに臨む。
公式予選
今年はどうにもアップダウンが激しい、COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racing。開幕戦は2位と、まずまずのスタートを切ったものの、第2戦はさまざまなトラブルに見舞われ、最下位となる6位。しかし、第3戦で今季初優勝を飾った一方で、前回もトラブルで7位に甘んじているからだ。その順番で行くと、今回は結果が残せるわけだが……。いずれにせよ、絶対にトラブルを回避して、いい方向に流れを変えたいところだ。
今回も木曜日にサーキット入りするも、この日は雨に見舞われてしまう。予選が行われる土曜日、決勝の行われる日曜日には、雨は降らないということで、この日はあえて走行せず。金曜日も午前のセッションもウェットコンディションだったため、チェックだけ行って、ごく少ない周回に留めていた。
本格的な走行開始は午後のセッションから。序盤はまだ濡れていたものの、やがて路面が乾き出してからは急ピッチでセットアップが進められていき、最終的には2分1秒286を記録するまでとなり、トップで2日目の走行を終了。土曜日の朝に行われたウォームアップ走行においては、決勝セットのみ試す余裕さえ見せていた。
そして、いよいよ予選を迎えることとなった。Aドライバー予選に臨んだ山崎は、ハイペースでのウォームアップの後、計測2周目から始めたアタックで、いきなり2分2秒945をマークしてトップに立ち、続けてのアタックでは2分2秒338にまで短縮。手応え十分を感じさせるかのように、早々にピットへと戻ってくる。
この山崎のトップが、Bドライバー予選を走る坪井を、さらに奮い立たせた。計測2周目に記録したのは2分1秒021。3番手ではあったものの、GRスープラ勢では最速で、しかもウエイトハンデを40kgも背負っての状況である。逆にトップは10kg、2番手は15kgしか積んでいない。しかも、合算タイムにおいては、「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」にとって、今年初めてのポールポジションともなった。
選手コメント
▶山崎学
思っていたよりも出ちゃった、という感じで(笑)。今、思えば、もうちょっと行けたところもありましたが、クリアラップで走れたので、それは良かったです。あとはやっぱり前日にみんなが修正かけてくれて、それのおかげですね。このいい流れのままで、決勝も行きたいです。
▶坪井翔
スープラ3台の中でいちばん前が取れたし、山崎さんがめちゃくちゃいいアタックをしてくれて、Aドライバー予選でリードを広げてくれたので、僕は気楽に予選に挑むことができました。今年はポール獲れていなかったので、スープラとして良かったです。何より山崎さんが天候だったり、クリアラップ取れなかったりと、SUGO、オートポリスで不完全燃焼なアタックが続いたので、しっかりアタックしてもらえたのは本当に良かった。僕もしっかりアタックできたので、明日はトップから5時間、長いですけど、トラブル等がなければ、十分優勝争いできると思います。ポール・トゥ・ウィンできるよう、頑張ります。
決勝レース
決勝レースの行われる日曜日は、スタート時こそ曇りだったが、やがて陽が差すまでとなった。もっとも、そのことが後にチームに一大事をもたらすこととなるのだが……。
今回もスタートを担当したのは野中。1周のフォーメーションラップの後、ダッシュも鋭くトップをキープするが、なかなか後続を引き離すまでには至らない。やはり40kgとはいえ、積んでいるウエイトハンデは少なからず足かせとなっていたようだ。さらに、野中のドライビング中にエアコンが機能しなくなるトラブルも。
1時間10分経過した33周目に、山崎に4番手でバトンタッチ。エアコンが効かず、しかもダクトもない車内は灼熱状態で、ジェントルマンドライバーの山崎には、あまりに酷な環境となっていた。それでも4番手をキープして周回を重ねていたが、48周目の3コーナーで「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」はコースアウト! 接触を回避するためだったが、不幸中の幸いだったのは、即座にFCY(フルコースイエロー)が提示され、復帰にそれほど大きなロスを背負わずに済んだことだった。これでラップダウンとなるも、6番手に留まることはできた。
ジェントルマンドライバーに対する規定の1時間を走り切った山崎は、59周目に坪井へバトンタッチ。厳しい状態に変わりはないものの、懸命の挽回が続く。99周目からは野中が再び乗り込み、ライバルのトラブルに乗じて5番手に上がったばかりか、125周目にはコース上でも1台をかわして4番手に浮上。いつしかトップとも同一周回となっていた。
結果的に136周を走り抜き、4位でゴールした「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」だったが、悔やまれるのはトップがペナルティにより、90秒を加算されて順位を落とし、あとコンマ1秒早くゴールしていれば、3位になっていたこと……。しかし、過酷な状況の中、誰もベストを尽くしていたのは紛れもない事実だった。
選手コメント
▶山崎学
エアコンが効かなくて、ダクトもついていないので、本当にビニールハウスの中にいるような状態で、最初はなんとか頑張っていたんですが、どんどん意識が朦朧としてきちゃって。前の車に接触しそうになってコースアウトしたのは、そのせいでした。スタートの誠太くんの途中からエアコンが壊れていたようです。最後の試練だと思って、頑張ろうかなと思ったんですが、ちょっと僕のからだが弱くて、ちょっと……。どうにもならなくて砂遊び。ちょっと残念ですけど、これもレースなのかなと。また、何か機会があると思うので、精進します。
▶坪井翔
この車、ただでさえ暑くて、エアコンないと話にならないほどなので、エアコン壊れた段階で、レースの勝負権は失われたと思うぐらいだったから、よくみんなで頑張ってつないで、ゴールできたとは思っています。悔しい、優勝したかった。とりあえずしっかり戦えて、ポールも獲れて。本当に1周以上離されていたのが、同一周回の4位ということで、巻き返すことができたし、またこのチームが復活した時には、みんなでレースできたらと思っています。
▶野中誠太
スタートで行って順位は下げてしまったんですが、序盤ちょっとプッシュしすぎて、タイヤ的には厳しかったかなと。今週いちばん路面温度が高かったので、そのあたりのバランスも変わっていたというのがあって、アジャストもうまくできなかったというのが僕の最初のスティントでした。最後のスティントはいろいろタイヤの使い方などを、第一スティントの反省を踏まえて、周回重ねたんですけど、それほど悪くないペースで追い上げることはできたと思うので、しっかり戦えたというのは、スープラ勢の中では良かった部分かと思います。
▶細川慎弥
予選は完璧に、みんなやってくれてポールポジションが獲れたし、レース自体も速さはあったし、展開とかいろいろな部分で、今回はちょっと厳しかったですけど、なんかやり切った感はあるので。チェッカー受けてすぐは、涙流しているスタッフもいたりしたんですけど、今は笑顔で終われたので、すごくいい空気で、チームらしく終わったという感じですよね。
大切なお知らせ
この度諸事情により、COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、スーパー耐久シリーズ 第5戦 もてぎ大会をもって活動を休止することとなりました。
初参戦から3年半。シーズン途中での撤退、また急なご報告となり、チームを応援してくださっている皆さま、並びに関係者の皆さまのご期待に応えることができず、大変申し訳ありません。
これまでたくさんの応援やご声援、本当にありがとうございました。
文:秦直之
PHOTO:服部真哉、中村浩史
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第5戦「もてぎスーパー耐久5Hours Race」
9月3〜4日 モビリティリゾートもてぎ
予選:ドライ
決勝:ドライ
ホームコースで有終の美を飾れず……。悔しい4位でレースを終える
スーパー耐久シリーズで4シーズン目を迎えるCOROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、GT4車両によって競われるST-Zクラスに今年は勢力を集中し、トヨタGRスープラGT4を走らせることとなった。
「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」をドライブするのは、山崎学と坪井翔、野中誠太、そしてチームの司令塔も新たに兼ねることとなった細川慎弥の4人。なお、シリーズは従来よりも1戦増となる全7戦での開催が予定され、ランキングは上位6戦の有効ポイント制度が採用される。
シリーズ第5戦はホームコースである、モビリティリゾートもてぎが舞台とあって、絶対に勝ちたい一戦だ。ウエイトハンデは40kgにも達して、楽な戦いは許されないだろうが、勝つことだけをターゲットにレースに臨む。
公式予選
今年はどうにもアップダウンが激しい、COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racing。開幕戦は2位と、まずまずのスタートを切ったものの、第2戦はさまざまなトラブルに見舞われ、最下位となる6位。しかし、第3戦で今季初優勝を飾った一方で、前回もトラブルで7位に甘んじているからだ。その順番で行くと、今回は結果が残せるわけだが……。いずれにせよ、絶対にトラブルを回避して、いい方向に流れを変えたいところだ。
今回も木曜日にサーキット入りするも、この日は雨に見舞われてしまう。予選が行われる土曜日、決勝の行われる日曜日には、雨は降らないということで、この日はあえて走行せず。金曜日も午前のセッションもウェットコンディションだったため、チェックだけ行って、ごく少ない周回に留めていた。
本格的な走行開始は午後のセッションから。序盤はまだ濡れていたものの、やがて路面が乾き出してからは急ピッチでセットアップが進められていき、最終的には2分1秒286を記録するまでとなり、トップで2日目の走行を終了。土曜日の朝に行われたウォームアップ走行においては、決勝セットのみ試す余裕さえ見せていた。
そして、いよいよ予選を迎えることとなった。Aドライバー予選に臨んだ山崎は、ハイペースでのウォームアップの後、計測2周目から始めたアタックで、いきなり2分2秒945をマークしてトップに立ち、続けてのアタックでは2分2秒338にまで短縮。手応え十分を感じさせるかのように、早々にピットへと戻ってくる。
この山崎のトップが、Bドライバー予選を走る坪井を、さらに奮い立たせた。計測2周目に記録したのは2分1秒021。3番手ではあったものの、GRスープラ勢では最速で、しかもウエイトハンデを40kgも背負っての状況である。逆にトップは10kg、2番手は15kgしか積んでいない。しかも、合算タイムにおいては、「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」にとって、今年初めてのポールポジションともなった。
選手コメント
▶山崎学
思っていたよりも出ちゃった、という感じで(笑)。今、思えば、もうちょっと行けたところもありましたが、クリアラップで走れたので、それは良かったです。あとはやっぱり前日にみんなが修正かけてくれて、それのおかげですね。このいい流れのままで、決勝も行きたいです。
▶坪井翔
スープラ3台の中でいちばん前が取れたし、山崎さんがめちゃくちゃいいアタックをしてくれて、Aドライバー予選でリードを広げてくれたので、僕は気楽に予選に挑むことができました。今年はポール獲れていなかったので、スープラとして良かったです。何より山崎さんが天候だったり、クリアラップ取れなかったりと、SUGO、オートポリスで不完全燃焼なアタックが続いたので、しっかりアタックしてもらえたのは本当に良かった。僕もしっかりアタックできたので、明日はトップから5時間、長いですけど、トラブル等がなければ、十分優勝争いできると思います。ポール・トゥ・ウィンできるよう、頑張ります。
決勝レース
決勝レースの行われる日曜日は、スタート時こそ曇りだったが、やがて陽が差すまでとなった。もっとも、そのことが後にチームに一大事をもたらすこととなるのだが……。
今回もスタートを担当したのは野中。1周のフォーメーションラップの後、ダッシュも鋭くトップをキープするが、なかなか後続を引き離すまでには至らない。やはり40kgとはいえ、積んでいるウエイトハンデは少なからず足かせとなっていたようだ。さらに、野中のドライビング中にエアコンが機能しなくなるトラブルも。
1時間10分経過した33周目に、山崎に4番手でバトンタッチ。エアコンが効かず、しかもダクトもない車内は灼熱状態で、ジェントルマンドライバーの山崎には、あまりに酷な環境となっていた。それでも4番手をキープして周回を重ねていたが、48周目の3コーナーで「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」はコースアウト! 接触を回避するためだったが、不幸中の幸いだったのは、即座にFCY(フルコースイエロー)が提示され、復帰にそれほど大きなロスを背負わずに済んだことだった。これでラップダウンとなるも、6番手に留まることはできた。
ジェントルマンドライバーに対する規定の1時間を走り切った山崎は、59周目に坪井へバトンタッチ。厳しい状態に変わりはないものの、懸命の挽回が続く。99周目からは野中が再び乗り込み、ライバルのトラブルに乗じて5番手に上がったばかりか、125周目にはコース上でも1台をかわして4番手に浮上。いつしかトップとも同一周回となっていた。
結果的に136周を走り抜き、4位でゴールした「GR Garage水戸インターGR SUPRA GT4」だったが、悔やまれるのはトップがペナルティにより、90秒を加算されて順位を落とし、あとコンマ1秒早くゴールしていれば、3位になっていたこと……。しかし、過酷な状況の中、誰もベストを尽くしていたのは紛れもない事実だった。
選手コメント
▶山崎学
エアコンが効かなくて、ダクトもついていないので、本当にビニールハウスの中にいるような状態で、最初はなんとか頑張っていたんですが、どんどん意識が朦朧としてきちゃって。前の車に接触しそうになってコースアウトしたのは、そのせいでした。スタートの誠太くんの途中からエアコンが壊れていたようです。最後の試練だと思って、頑張ろうかなと思ったんですが、ちょっと僕のからだが弱くて、ちょっと……。どうにもならなくて砂遊び。ちょっと残念ですけど、これもレースなのかなと。また、何か機会があると思うので、精進します。
▶坪井翔
この車、ただでさえ暑くて、エアコンないと話にならないほどなので、エアコン壊れた段階で、レースの勝負権は失われたと思うぐらいだったから、よくみんなで頑張ってつないで、ゴールできたとは思っています。悔しい、優勝したかった。とりあえずしっかり戦えて、ポールも獲れて。本当に1周以上離されていたのが、同一周回の4位ということで、巻き返すことができたし、またこのチームが復活した時には、みんなでレースできたらと思っています。
▶野中誠太
スタートで行って順位は下げてしまったんですが、序盤ちょっとプッシュしすぎて、タイヤ的には厳しかったかなと。今週いちばん路面温度が高かったので、そのあたりのバランスも変わっていたというのがあって、アジャストもうまくできなかったというのが僕の最初のスティントでした。最後のスティントはいろいろタイヤの使い方などを、第一スティントの反省を踏まえて、周回重ねたんですけど、それほど悪くないペースで追い上げることはできたと思うので、しっかり戦えたというのは、スープラ勢の中では良かった部分かと思います。
▶細川慎弥
予選は完璧に、みんなやってくれてポールポジションが獲れたし、レース自体も速さはあったし、展開とかいろいろな部分で、今回はちょっと厳しかったですけど、なんかやり切った感はあるので。チェッカー受けてすぐは、涙流しているスタッフもいたりしたんですけど、今は笑顔で終われたので、すごくいい空気で、チームらしく終わったという感じですよね。
大切なお知らせ
この度諸事情により、COROLLA SHIN-IBARAKI CSI Racingは、スーパー耐久シリーズ 第5戦 もてぎ大会をもって活動を休止することとなりました。
初参戦から3年半。シーズン途中での撤退、また急なご報告となり、チームを応援してくださっている皆さま、並びに関係者の皆さまのご期待に応えることができず、大変申し訳ありません。
これまでたくさんの応援やご声援、本当にありがとうございました。
文:秦直之
PHOTO:服部真哉、中村浩史