【レポート】スーパー耐久 第5戦 鈴鹿サーキット
2021.09.24
スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第5戦
9月18日〜19日 鈴鹿サーキット(三重県)
予選:ドライ
決勝:ドライ
【86】310号車/坪井翔/細川慎弥/堀尾風允
【Supra】311号車/鈴木宏和/久保凜太郎/塩津佑介/佐藤公哉
「GR Garage水戸インターGR86」が2連勝!2連覇に向けて急加速
一時トップを走行した「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」、2位ながら初表彰台へ
スーパー耐久シリーズ参戦3シーズン目のC.S.I Racingは、今年から2台体制を敷き、トヨタ86によるST-4クラスにトヨタ86を、ST-ZクラスにトヨタGRスープラGT4を投入する。
ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブするのは、鈴木宏和と久保凜太郎、塩津佑介、そして佐藤公哉の4人。一方、連覇を目指すST-4クラスでは、「GR Garage水戸インターGR86」を坪井翔と細川慎弥、堀尾風允の3人がドライブする。
シリーズ第5戦の舞台、鈴鹿サーキットでスーパー耐久が行われるのは2年ぶり。昨シーズン当初の予定では3月に開幕戦として行われるはずがコロナ禍によって延期となり、年をまたいで今年の1月に開催される予定だったが、結局中止になっていたからだ。
今年の「GR Garage水戸インターGR86」は、開幕からの3戦が苦戦続きだったが、ようやく前回のオートポリスで優勝を飾ったことから、まだまだシリーズ2連覇の可能性が残されることとなった。ただし、残念ながらエントリーが2台に留まったことから、ライバルがよほど致命的なトラブルに見舞われてリタイアでもしない限り、今回での逆転はない。逆に言えば、最終戦での劇的な展開での決定に向け、お膳立ては整えられた格好にもなった。
一方、前回の「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はリタイアを喫し、「富士24時間」を欠場したため、チャンピオン獲得の芽は限りなく首の皮一枚となっている。しかし、予選では2台揃ってポールを奪い、速さを証明しているだけに優勝を飾って、強さも証明したいところだ。

![]()



公式予選
今回のレースにおける、最大の懸念材料は近づいていた台風14号が、どう影響を及ぼすか。進行次第では、直撃の可能性もあったからだ。練習を開始した木曜日、そして金曜日午前の専有走行、それも前半のグループ2まではドライコンディションで走れたものの、後半のグループ1のタイミングからは雨に見舞われてしまう。それからは午後の専有走行は、ずっとウェットコンディション。
そのため、あらかじめ土曜日午前のフリー走行の中止、予選を1時間遅らせることが発表されていた。ちなみにBドライバー予選が、Aドライバー予選の前に行われることともなったが、これは上位クラスの多くが、Aドライバーにジェントルマンドライバーを配しているからの配慮である。
ちなみにドライコンディションの専有走行だが、「GR Garage水戸インターGR86」は坪井が2分24秒427を、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も路面が濡れる前の貴重なタイミングで久保が2分14秒960をマークしていずれもトップとなっていた。
さて、気になる土曜日の天気だが、夜のうちに台風は東海地方を通過していた。意表を突かれた感もなかったわけではないが、大事に至らなかったのは何よりだと思うべきだろう。
午後からST-4クラスを含む、グループ2のBドライバー予選が最初に行われ、「GR Garage水戸インターGR86」の細川は、計測2周目からアタックを開始する。まずは2分25秒016でトップに立ち、次の周には2分24秒544にまで短縮するも、コンマ3秒差で2番手に後退。
続いて行われたST-Zクラスを含む、グループ1のBドライバー予選でも「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」の久保は、計測2周目からアタック開始。久々の本番とは思えぬ集中力で、2分11秒719をマークしてトップに立ち、1周のクールダウンを挟んで再度アタックするも、惜しくもタイムアップならず。それでも約1秒のマージンを保ったまま、トップを守り抜いた。
そしてグループ2のAドライバー予選では、あえて坪井は計測3周目からのアタックとして、ワンチャンスにすべてを賭けた。その結果、叩き出されたのは2分23秒074と、2番手を1秒半も引き離す驚異的なタイム! タイム合算でも「GR Garage水戸インターGR86」はトップとなり、予選が行われた4戦すべてポールポジションを獲得した。
久保のみならず、坪井の激走を間近に見せられたからには、続くグループ1のAドライバー予選に臨んだ、鈴木が奮起せぬはずがない。これまた2番手を1秒2も引き離す、2分13秒209を叩き出してみせたのだ。もちろんタイム合算では、2戦連続のポールポジションが決定。今季3度目のWポールに、ピットは大いに湧き上がった。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」
▶鈴木宏和
いい感じでしたけど、凜太郎には負けました(笑)。行くだけ行きました、頑張りました! でも、まだまだ僕の予選の仕方には、勉強が必要なようです。決勝も頑張ります。速いライバルが、チームの中にいるのは、すごくいいことですよね〜?
▶久保凜太郎
6月から諸々レース出ていなくて、スープラは5月のSUGOぶり。だから、まだリハビリ中です(笑)。でも、いい感じですよ、それで言ったら。
今日の僕の走り? 人生でいちばん行った! 思いっきり行った! 今週、スープラは鈴鹿持ってきた時から持ち込みも決まっていたし、本当にドライバーがどれだけ行けるかって分だったので。まぁ、あのST-Zのプロ、猛者たちがごちゃごちゃいる中で、あれだけブッちぎれたのはすごく嬉しいですね。給油時間の長さが相変わらず気になるところですけど、コース上の速さが今回すごくあるから、それでどうにかしたいですね。頑張ります!
ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」
▶坪井翔
今回、18号車がいなくて一騎討ちなので、非常にこのポールの2点というのが、追いかけている立場からすると大きいです。昨日は雨降って、あまりドライのテストできませんでしたけど、向こうもトラブったりしていて、それよりはデータが取ることができたし、ドライに関しては自信を持っていました。結果的には大きな差を開いて、ポールを獲ることができて良かったですし、今シーズン、予選やった中では全部ポールなので、そのいい流れで来ています。
やっと前回のオートポリスで勝てたので、その流れをキープして、明日勝てればかなりチャンピオンに関しても追い風というか、だいぶ接近した戦いに挑めるので、明日はすごく大事なレースになるでしょう。このまま勝てるように頑張ります。
▶細川慎弥
今日も坪井がちぎってくれたので、作戦どおり(笑)。今回は順番入れ替わって、僕は逆に気が楽でした。先に行くだけ行って、「あとは坪井、任せたぁ!」って言えたんで、僕的には。坪井は坪井で、「やっぱ逆がいいな」って言っていましたけどね。あとは決勝が大事ですよね。
でも、ドライだと悪くないし、落とせないレースが続いていますけど、クルマは悪くないので、この調子で決勝も頑張りたいですね。
決勝レース
今回の決勝レースもまた、全クラス混走による、5時間レースとして競われる。ここまで、もてぎとオートポリスで2回行われた5時間レースは、いずれも悪天候に見舞われて中断を強いられていたが、こと今回は天候に関しては心配なさそうだ。日曜日の鈴鹿には青空が広げっていたからである。
午前に行われたウォームアップで、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は2分16秒207を、そして「GR Garage水戸インターGR86」は2分27秒193を記録して、いずれもトップ。予選からの好調ぶりを維持していただけに、決勝レースでも活躍が大いに期待された。
スタートを担当するのは、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」が佐藤、「GR Garage水戸インターGR86」が坪井。ともにトップをしっかり守って、レースを開始した。しかし、坪井は徐々に2番手を引き離していったが、佐藤は5周目に1台、18周目にもう1台の先行を許していた。それでも前を行く2台は有視界のうち。離されなかったことによって、セカンドスティントを担当した塩津が見せ場を作った。
1時間18分経過した33周目に佐藤から塩津に代わり、やはり今回も給油にライバルよりも時間を要したため、ピットで1台に抜かれたが、わずか5周で抜き返し、トップの早い交代で2番手に復帰。57周目には1コーナーで、塩津が鮮やかなオーバーテイクを決めて、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップ返り咲きに成功する。そして、折り返しを過ぎたばかりの2時間37分、66周目に久保と交代する。
一方、「GR Garage水戸インターGR86」は、その間もちろん独走状態。1時間33分経過した37周目に細川が、69周目に再び坪井が乗り込んだ後でもトップを譲らず。余裕そのもののように感じられたが、実はモニターに映っていないところでハプニングが発生していたのだ。現状、原因は不明ながら、エンジンが突然パワーを失っていたからだ。すぐに自然と回復して事なきを得たとはいえ、いつまた再発しないとも限らない。その意味では、爆弾を抱えた状態ともなっていた。誰より肝を冷やしたのは、その様子を走りながら見ていた久保ではなかったか。
その久保は、やはりピットで順位を落とすも、タイミングの違いもあったためで、やがて2番手に順位を戻すも、トップのアストンマーティンにだけは届かない。残り1時間を間もなくというタイミングで、鈴木に「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」を託したのが99周目。約20秒の差がどうなるか。
そして残り45分を切った100周目、「GR Garage水戸インターGR86」のラストスティントは、再び細川がドライブ。すでに後続にペースを合わせられるほど、大量のリードが築かれていたが、113周目に決定打が。ピット作業違反によって、ドライビングスルーペナルティを課せられていたからである。あとはもう、大事にチェッカーまで運ぶだけとなっていた。
その一方で「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は、鈴木が激走を見せたが、それでもトップは逃げる一方。一時はトップも走行しただけに、悔しい2位でもあったが、それでも初めて上がった表彰台だけに、ドライバーの4人には嬉しさの方が優っていたようだ。
逆に「GR Garage水戸インターGR86」は不安視していたエンジン不調に再び見舞われることなく圧勝となり、2連勝を達成! ランキングは2位のままながら、トップにも急接近を果たすこととなった。最終戦で大逆転なるストーリーの、お膳立ては完璧に整えられた。ちなみに、レース中、一度もセーフティカーどころかFCYすら出なかったため、過去3回の5時間レースで最も多い119周の走破に成功、2018年の記録を2周上回っていた。
11月13〜14日に岡山国際サーキットで開催される最終戦、「GR Garage水戸インターGR86」には2連覇達成、そして「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」には初優勝の期待がかかる。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」
▶鈴木宏和
前回のオートポリスで、あとちょっとのところでリタイアしてしまった、憂さは晴らせたんですけどね。スープラのいいところを、もっと見つけて、僕らには速さはあるので、一発の。あれを長い時間走れるような方向に振っていければ、はい。期待してやっていきます。

▶久保凜太郎
激しかったねぇ。でも、うちとしてはずっと予定どおりの戦い方をしていたので、あれ以上はないでしょう、現状のポテンシャルで言うと。ピットでの差が激しいから、それで前に出られたし。勝ったD’stationは、織戸さんがめちゃくちゃ速かったから逃げられちゃって、前で有利な展開でレースされちゃった。しんどかったけど、3位のENDLESSとはギャップを作って帰ってこられたから、悪くなかったと思います。次の岡山は短いから、もうちょっと攻めた作戦を、何か採れればいいなと思っています。
2台で表彰台上がれたのは、すごく嬉しいし、何より86が岡山に対してはすごく有利な展開、有利な状態で入れるので、それはすごくポジティブですよね。また、みんなで頑張ります。

▶塩津佑介
タイヤが厳しい鈴鹿で、燃費も稼ぐレースだったんですけど、そういう点では今年やった中で、平均のタイムも上げて、いちばんいいレースができたと思います。相手はジェントルマンだったんですが、ENDLESSとD’stationの前に出られたのは、すごく気持ち良かったですし。でも、本当はそこでもう少しマージン作りたかったんですけど、まだ自分の力が足りなかったな、っていうのもありました。
本当にチームの皆さんのおかげで、全員が出し切ったレースだったと思うので、正直悔いはないし、まだまだ上にもうひとつ順位があるので、そこに立てるように次を考えていきたいと思います。

▶佐藤公哉
やっぱ、アストンは強かったですね。僕らももうちょっと細かく詰めるところが、いっぱいあると思うので、次の岡山に向けて、そういったところ詰めていったりしていったら、もっといい結果が出ると思うので。今回はとりあえず、初表彰台で良かったと思うことにします。今までいいところ走っていても、セーフティカーに引っかかったりする不運もありましたので。

ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」
▶坪井翔
ドライは調子良かったんで、決勝にも自信はありました。セーフティカーとかイレギュラーがなく、トラブルもなければ大丈夫だと思っていたんですが、一瞬ヒヤッとした時があって。原因は分かりませんが、アクセル踏んでもパワー出なくなっちゃって、一気に20秒ぐらい失ったので、そのトラブルが再発しないか、って不安と戦いながらだったんです、実は。ただ、これもなんでだか分からないんですが、そのまま走っていたら戻っていたんです。その後は、もう出なかったですが、ちょっと怖かったですね。
今週は予選、決勝においても速さはあったし、ポイントランキングも同等のところまで来ました。今年の初めからしたら、まさかチャンピオン争いに絡めるとは思っていなかったし、最終戦でガチンコ勝負できるところまで来たからには、もう獲るしかありません。全戦ポールもかかっていますので、まずはポール獲って、って感じですね!

▶細川慎弥
ギリギリの状態で踏み留まれているので、次は最終戦だけど、あんまり逆にシリーズ考えず、うちらの力を出すことができれば、シリーズチャンピオンはついてくると思います。

▶堀尾風允
今回も僕は見守ることしかできなかったので、個人的には準備してきたところもあったから、ちょっと悔しいなというところはあるんですが、次の岡山では自分も乗って勝てるように頑張ります。






GRガレージ 岡田スタッフ(奥) 白土スタッフ(手前)


GRガレージ 岡田スタッフ

GRガレージ 白土スタッフ
9月18日〜19日 鈴鹿サーキット(三重県)
予選:ドライ
決勝:ドライ
【86】310号車/坪井翔/細川慎弥/堀尾風允
【Supra】311号車/鈴木宏和/久保凜太郎/塩津佑介/佐藤公哉
「GR Garage水戸インターGR86」が2連勝!2連覇に向けて急加速
一時トップを走行した「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」、2位ながら初表彰台へ
スーパー耐久シリーズ参戦3シーズン目のC.S.I Racingは、今年から2台体制を敷き、トヨタ86によるST-4クラスにトヨタ86を、ST-ZクラスにトヨタGRスープラGT4を投入する。
ST-Zクラスの「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」をドライブするのは、鈴木宏和と久保凜太郎、塩津佑介、そして佐藤公哉の4人。一方、連覇を目指すST-4クラスでは、「GR Garage水戸インターGR86」を坪井翔と細川慎弥、堀尾風允の3人がドライブする。
シリーズ第5戦の舞台、鈴鹿サーキットでスーパー耐久が行われるのは2年ぶり。昨シーズン当初の予定では3月に開幕戦として行われるはずがコロナ禍によって延期となり、年をまたいで今年の1月に開催される予定だったが、結局中止になっていたからだ。
今年の「GR Garage水戸インターGR86」は、開幕からの3戦が苦戦続きだったが、ようやく前回のオートポリスで優勝を飾ったことから、まだまだシリーズ2連覇の可能性が残されることとなった。ただし、残念ながらエントリーが2台に留まったことから、ライバルがよほど致命的なトラブルに見舞われてリタイアでもしない限り、今回での逆転はない。逆に言えば、最終戦での劇的な展開での決定に向け、お膳立ては整えられた格好にもなった。
一方、前回の「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はリタイアを喫し、「富士24時間」を欠場したため、チャンピオン獲得の芽は限りなく首の皮一枚となっている。しかし、予選では2台揃ってポールを奪い、速さを証明しているだけに優勝を飾って、強さも証明したいところだ。




公式予選
今回のレースにおける、最大の懸念材料は近づいていた台風14号が、どう影響を及ぼすか。進行次第では、直撃の可能性もあったからだ。練習を開始した木曜日、そして金曜日午前の専有走行、それも前半のグループ2まではドライコンディションで走れたものの、後半のグループ1のタイミングからは雨に見舞われてしまう。それからは午後の専有走行は、ずっとウェットコンディション。
そのため、あらかじめ土曜日午前のフリー走行の中止、予選を1時間遅らせることが発表されていた。ちなみにBドライバー予選が、Aドライバー予選の前に行われることともなったが、これは上位クラスの多くが、Aドライバーにジェントルマンドライバーを配しているからの配慮である。
ちなみにドライコンディションの専有走行だが、「GR Garage水戸インターGR86」は坪井が2分24秒427を、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」も路面が濡れる前の貴重なタイミングで久保が2分14秒960をマークしていずれもトップとなっていた。
さて、気になる土曜日の天気だが、夜のうちに台風は東海地方を通過していた。意表を突かれた感もなかったわけではないが、大事に至らなかったのは何よりだと思うべきだろう。
午後からST-4クラスを含む、グループ2のBドライバー予選が最初に行われ、「GR Garage水戸インターGR86」の細川は、計測2周目からアタックを開始する。まずは2分25秒016でトップに立ち、次の周には2分24秒544にまで短縮するも、コンマ3秒差で2番手に後退。
続いて行われたST-Zクラスを含む、グループ1のBドライバー予選でも「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」の久保は、計測2周目からアタック開始。久々の本番とは思えぬ集中力で、2分11秒719をマークしてトップに立ち、1周のクールダウンを挟んで再度アタックするも、惜しくもタイムアップならず。それでも約1秒のマージンを保ったまま、トップを守り抜いた。
そしてグループ2のAドライバー予選では、あえて坪井は計測3周目からのアタックとして、ワンチャンスにすべてを賭けた。その結果、叩き出されたのは2分23秒074と、2番手を1秒半も引き離す驚異的なタイム! タイム合算でも「GR Garage水戸インターGR86」はトップとなり、予選が行われた4戦すべてポールポジションを獲得した。
久保のみならず、坪井の激走を間近に見せられたからには、続くグループ1のAドライバー予選に臨んだ、鈴木が奮起せぬはずがない。これまた2番手を1秒2も引き離す、2分13秒209を叩き出してみせたのだ。もちろんタイム合算では、2戦連続のポールポジションが決定。今季3度目のWポールに、ピットは大いに湧き上がった。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」
▶鈴木宏和
いい感じでしたけど、凜太郎には負けました(笑)。行くだけ行きました、頑張りました! でも、まだまだ僕の予選の仕方には、勉強が必要なようです。決勝も頑張ります。速いライバルが、チームの中にいるのは、すごくいいことですよね〜?
▶久保凜太郎
6月から諸々レース出ていなくて、スープラは5月のSUGOぶり。だから、まだリハビリ中です(笑)。でも、いい感じですよ、それで言ったら。
今日の僕の走り? 人生でいちばん行った! 思いっきり行った! 今週、スープラは鈴鹿持ってきた時から持ち込みも決まっていたし、本当にドライバーがどれだけ行けるかって分だったので。まぁ、あのST-Zのプロ、猛者たちがごちゃごちゃいる中で、あれだけブッちぎれたのはすごく嬉しいですね。給油時間の長さが相変わらず気になるところですけど、コース上の速さが今回すごくあるから、それでどうにかしたいですね。頑張ります!
ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」
▶坪井翔
今回、18号車がいなくて一騎討ちなので、非常にこのポールの2点というのが、追いかけている立場からすると大きいです。昨日は雨降って、あまりドライのテストできませんでしたけど、向こうもトラブったりしていて、それよりはデータが取ることができたし、ドライに関しては自信を持っていました。結果的には大きな差を開いて、ポールを獲ることができて良かったですし、今シーズン、予選やった中では全部ポールなので、そのいい流れで来ています。
やっと前回のオートポリスで勝てたので、その流れをキープして、明日勝てればかなりチャンピオンに関しても追い風というか、だいぶ接近した戦いに挑めるので、明日はすごく大事なレースになるでしょう。このまま勝てるように頑張ります。
▶細川慎弥
今日も坪井がちぎってくれたので、作戦どおり(笑)。今回は順番入れ替わって、僕は逆に気が楽でした。先に行くだけ行って、「あとは坪井、任せたぁ!」って言えたんで、僕的には。坪井は坪井で、「やっぱ逆がいいな」って言っていましたけどね。あとは決勝が大事ですよね。
でも、ドライだと悪くないし、落とせないレースが続いていますけど、クルマは悪くないので、この調子で決勝も頑張りたいですね。
決勝レース
今回の決勝レースもまた、全クラス混走による、5時間レースとして競われる。ここまで、もてぎとオートポリスで2回行われた5時間レースは、いずれも悪天候に見舞われて中断を強いられていたが、こと今回は天候に関しては心配なさそうだ。日曜日の鈴鹿には青空が広げっていたからである。
午前に行われたウォームアップで、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は2分16秒207を、そして「GR Garage水戸インターGR86」は2分27秒193を記録して、いずれもトップ。予選からの好調ぶりを維持していただけに、決勝レースでも活躍が大いに期待された。
スタートを担当するのは、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」が佐藤、「GR Garage水戸インターGR86」が坪井。ともにトップをしっかり守って、レースを開始した。しかし、坪井は徐々に2番手を引き離していったが、佐藤は5周目に1台、18周目にもう1台の先行を許していた。それでも前を行く2台は有視界のうち。離されなかったことによって、セカンドスティントを担当した塩津が見せ場を作った。
1時間18分経過した33周目に佐藤から塩津に代わり、やはり今回も給油にライバルよりも時間を要したため、ピットで1台に抜かれたが、わずか5周で抜き返し、トップの早い交代で2番手に復帰。57周目には1コーナーで、塩津が鮮やかなオーバーテイクを決めて、「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」はトップ返り咲きに成功する。そして、折り返しを過ぎたばかりの2時間37分、66周目に久保と交代する。
一方、「GR Garage水戸インターGR86」は、その間もちろん独走状態。1時間33分経過した37周目に細川が、69周目に再び坪井が乗り込んだ後でもトップを譲らず。余裕そのもののように感じられたが、実はモニターに映っていないところでハプニングが発生していたのだ。現状、原因は不明ながら、エンジンが突然パワーを失っていたからだ。すぐに自然と回復して事なきを得たとはいえ、いつまた再発しないとも限らない。その意味では、爆弾を抱えた状態ともなっていた。誰より肝を冷やしたのは、その様子を走りながら見ていた久保ではなかったか。
その久保は、やはりピットで順位を落とすも、タイミングの違いもあったためで、やがて2番手に順位を戻すも、トップのアストンマーティンにだけは届かない。残り1時間を間もなくというタイミングで、鈴木に「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」を託したのが99周目。約20秒の差がどうなるか。
そして残り45分を切った100周目、「GR Garage水戸インターGR86」のラストスティントは、再び細川がドライブ。すでに後続にペースを合わせられるほど、大量のリードが築かれていたが、113周目に決定打が。ピット作業違反によって、ドライビングスルーペナルティを課せられていたからである。あとはもう、大事にチェッカーまで運ぶだけとなっていた。
その一方で「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」は、鈴木が激走を見せたが、それでもトップは逃げる一方。一時はトップも走行しただけに、悔しい2位でもあったが、それでも初めて上がった表彰台だけに、ドライバーの4人には嬉しさの方が優っていたようだ。
逆に「GR Garage水戸インターGR86」は不安視していたエンジン不調に再び見舞われることなく圧勝となり、2連勝を達成! ランキングは2位のままながら、トップにも急接近を果たすこととなった。最終戦で大逆転なるストーリーの、お膳立ては完璧に整えられた。ちなみに、レース中、一度もセーフティカーどころかFCYすら出なかったため、過去3回の5時間レースで最も多い119周の走破に成功、2018年の記録を2周上回っていた。
11月13〜14日に岡山国際サーキットで開催される最終戦、「GR Garage水戸インターGR86」には2連覇達成、そして「FABULOUS GRMI GR Supra GT4」には初優勝の期待がかかる。
ST-Zクラス「FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4」
▶鈴木宏和
前回のオートポリスで、あとちょっとのところでリタイアしてしまった、憂さは晴らせたんですけどね。スープラのいいところを、もっと見つけて、僕らには速さはあるので、一発の。あれを長い時間走れるような方向に振っていければ、はい。期待してやっていきます。

▶久保凜太郎
激しかったねぇ。でも、うちとしてはずっと予定どおりの戦い方をしていたので、あれ以上はないでしょう、現状のポテンシャルで言うと。ピットでの差が激しいから、それで前に出られたし。勝ったD’stationは、織戸さんがめちゃくちゃ速かったから逃げられちゃって、前で有利な展開でレースされちゃった。しんどかったけど、3位のENDLESSとはギャップを作って帰ってこられたから、悪くなかったと思います。次の岡山は短いから、もうちょっと攻めた作戦を、何か採れればいいなと思っています。
2台で表彰台上がれたのは、すごく嬉しいし、何より86が岡山に対してはすごく有利な展開、有利な状態で入れるので、それはすごくポジティブですよね。また、みんなで頑張ります。

▶塩津佑介
タイヤが厳しい鈴鹿で、燃費も稼ぐレースだったんですけど、そういう点では今年やった中で、平均のタイムも上げて、いちばんいいレースができたと思います。相手はジェントルマンだったんですが、ENDLESSとD’stationの前に出られたのは、すごく気持ち良かったですし。でも、本当はそこでもう少しマージン作りたかったんですけど、まだ自分の力が足りなかったな、っていうのもありました。
本当にチームの皆さんのおかげで、全員が出し切ったレースだったと思うので、正直悔いはないし、まだまだ上にもうひとつ順位があるので、そこに立てるように次を考えていきたいと思います。

▶佐藤公哉
やっぱ、アストンは強かったですね。僕らももうちょっと細かく詰めるところが、いっぱいあると思うので、次の岡山に向けて、そういったところ詰めていったりしていったら、もっといい結果が出ると思うので。今回はとりあえず、初表彰台で良かったと思うことにします。今までいいところ走っていても、セーフティカーに引っかかったりする不運もありましたので。

ST-4クラス「GR Garage水戸インターGR86」
▶坪井翔
ドライは調子良かったんで、決勝にも自信はありました。セーフティカーとかイレギュラーがなく、トラブルもなければ大丈夫だと思っていたんですが、一瞬ヒヤッとした時があって。原因は分かりませんが、アクセル踏んでもパワー出なくなっちゃって、一気に20秒ぐらい失ったので、そのトラブルが再発しないか、って不安と戦いながらだったんです、実は。ただ、これもなんでだか分からないんですが、そのまま走っていたら戻っていたんです。その後は、もう出なかったですが、ちょっと怖かったですね。
今週は予選、決勝においても速さはあったし、ポイントランキングも同等のところまで来ました。今年の初めからしたら、まさかチャンピオン争いに絡めるとは思っていなかったし、最終戦でガチンコ勝負できるところまで来たからには、もう獲るしかありません。全戦ポールもかかっていますので、まずはポール獲って、って感じですね!

▶細川慎弥
ギリギリの状態で踏み留まれているので、次は最終戦だけど、あんまり逆にシリーズ考えず、うちらの力を出すことができれば、シリーズチャンピオンはついてくると思います。

▶堀尾風允
今回も僕は見守ることしかできなかったので、個人的には準備してきたところもあったから、ちょっと悔しいなというところはあるんですが、次の岡山では自分も乗って勝てるように頑張ります。






GRガレージ 岡田スタッフ(奥) 白土スタッフ(手前)


GRガレージ 岡田スタッフ

GRガレージ 白土スタッフ
